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マンション遮音フローリングのリフォーム方法

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マンション遮音フローリングのリフォーム方法

防音規定のあるマンションでよく使用される「遮音フローリング」のリフォームは、業者によって提案内容や費用に違いが出やすいリフォームです。

リフォームの下見に来た業者に、
「これは遮音フローリングなので上貼りできません。全部はがして貼り替えになりますね。」
「床暖房が付いていますが、それも撤去して貼り替えないといけません。」
なんて言われてしまうことも。

遮音フローリングだと上貼りできない?床暖房も使えなくなる?
いえいえ!今はそんなことありません!

ここ数年でマンションの床リフォームに適した商品が続々と登場しています。
そういった最新情報を含め、この記事では遮音フローリングの貼り替えやリフォームをご検討されている方のために、役立つ情報をできるだけたくさん集めてみました。

 

目次

1.遮音フローリングとは?基本を押さえよう

遮音フローリングとは、フローリングの裏に防音のためのクッション材がついているものです。クッション材があることで、足音や物を落とした時の音、椅子を引く音などの生活音が下階に伝わるのを軽減してくれます。
防音規定のあるマンションの中でも、後で解説する「直床工法」と呼ばれる構造の床に使用されています。

 

一般的なフローリングとの違い

下の断面写真を見てください。遮音フローリングは床材の裏にクッション材が付いています。このクッション材のせいで踏むとフワフワとした感触があるのが遮音フローリングの大きな特徴です。
また、クッション材の厚みがある分、一般的なフローリングよりも1~2mmほど厚く、一般的なフローリングが12mm厚なのに対して遮音フローリングは13~15mm厚となります。

 

遮音フローリングのメリット・デメリット

遮音フローリングはマンションのコンクリートスラブの上に敷くだけで簡単に防音効果が得られるなど、メリットの大きい床材ですが、デメリットもいくつかあります。

まず、特有のフワフワとした踏み心地が苦手という方が多いです。歩行感については慣れの問題が大きいですが、どうしても苦手な方のため、フワフワ感を軽減する方法を後でご紹介します。

また、いくつかあるマンションの防音対策の中では遮音フローリングを使用するのが最も費用を抑えられる工法ではあるものの、それでも一般的なフローリング材より商品価格は高めです。

そして、少し長期的な視点から考えると、遮音フローリングは簡単に貼り替えができない(費用が高めになる)ことにも注意が必要です。これから遮音フローリングを採用しようとされている方は、できるだけ長く使えるものを選ぶと良いでしょう。
なお、遮音フローリングをリフォームする方法については、後で詳しく解説します。

 

2.遮音フローリングの種類と選び方

遮音フローリングは、遮音性能(防音性能)や表面化粧材の材質などにより、いくつかの種類に分けられます。
以下、順に解説していきます。

 

遮音フローリングの性能指標

遮音フローリングは床への衝撃音を低減する性能によって等級分けされています。

マンションの床の防音性能表示にはこれまで、「LL -45」などの表示方法(推定L等級)が使われてきましたが、2008年4月に「床材の床衝撃音低減性能の表現方法に関する検討委員会」から、新しい表示方法(ΔL等級)が発表されました。

何が変わったのかというと、これまでの推定L等級は空間での防音性能を推定したものであったのに対して、新しいΔL等級では床材や防音材が床衝撃音をどれだけ抑えられるか、という製品単体での防音性能を表すものになりました。

しかし、まだまだ従来の推定L等級が使われることが多いです。

従来の推定L等級では数字が小さいほど遮音性能が高い(防音規定が厳しい)のに対し、新指標のΔL等級は数字が大きいほど遮音性能が高いことに注意してください。

推定L等級イスの移動音・物の落下音等ΔL等級
LL-35通常ではまず聞こえないΔLL(I)-6
LL-40ほとんど聞こえないΔLL(I)-5
LL-45小さく聞こえるΔLL(I)-4
LL-50聞こえるΔLL(I)-3

 

材質による違い

遮音フローリングは下の図のように、上から「表面保護塗膜」「化粧材」「基材」「クッション材」の4層から構成されています。
このうち、化粧材の材質や厚みによって、遮音フローリングは大きく下表の4つタイプに分けられます。

 

タイプ化粧材の素材・厚み
シート材オレフィンシートなどに木目柄を印刷したもの
突き板天然木を厚さ0.2~0.6mmに薄くスライスしたもの
挽き板天然木を厚さ2~3mmの板状に切り出したもの
無垢材化粧材も基材も天然木のもの(厚さ12~15mm程度)

 

3.遮音フローリングが劣化すると?

マンション用の遮音フローリングが劣化する主な原因には、日光(紫外線)・水分(湿気)・摩擦・熱・ワックスなどがあります。では、具体的に劣化症状を見ていきましょう。

 

日焼けによる変色、めくれ

日当たりの良い掃出しサッシの前でよくみられる症状です。
紫外線によって表面保護塗膜が劣化し、その下の化粧材が白っぽく変色したり、カサカサとひび割れてめくれたりします。

 

水分や湿気による変色

水分や湿気が原因で、フローリングにカビが発生して黒く変色することがあります。これは、日当たりが悪く結露しやすいサッシの下や、家具やカーペットを置いていた場所などに起こりやすい症状です。
水分(湿気)による劣化が進むと、フローリングが変形したりひび割れたりする場合もあります。

 

キャスター等の摩擦による傷、めくれ

ダイニングテーブルや学習デスクまわりなど、椅子を置いて使っていた場所によくみられる症状です。椅子の足やキャスターを引き摺ることによって、フローリングの表面が傷つき、化粧材ごと剥がれてしまうことがよくあります。

 

経年劣化によるめくれ

これといった原因が見当たらない場所でも、経年劣化によって表面の化粧材がめくれてしまうことがあります。
実は、この経年劣化によるめくれが一番やっかいです。お部屋のあちこちに広い範囲で発生するケースも多いからです。

 

ワックスの劣化による黒ずみ

フローリングを保護するために塗られたワックスが劣化して、黒ずんだり色むらができたりすることがあります。
これは、一度ワックスを剥離処理してから再施工することで綺麗にすることができます。

 

 

4.簡単にできる遮音フローリングの補修方法

まず、比較的簡単にできる遮音フローリングの補修方法をご紹介していきます。
遮音フローリングでも、軽度の傷の直し方は普通のフローリングと同じです。

 

自分でできる!遮音フローリングのDIY補修

最近はホームセンターやネット通販で、DIY用のフローリング補修材が簡単に手に入ります。軽い傷や凹みなら、まずは自分で補修してみましょう。

 

小さな擦り傷は床補修用ペンやクレヨンで

線状の薄い擦り傷なら、フローリング補修用のペンやクレヨンで十分対応できます。
水拭きすれば見えなくなるくらい浅い傷であれば、クリアータイプの補修ペンを塗るだけでもかなり目立たなくすることができます。もう少し傷が深くて、水拭きだけでは消えないくらいの傷の場合は、色付きの補修ペンやクレヨンがおすすめです。

 

ペンタイプの補修材「すまいのマニキュア」
ペンタイプは細い擦り傷や色あせにおすすめです。筆ペンのように手軽に塗ることができます。クリアカラーもあります。

クレヨンタイプの補修材「かくれん棒ミニ」
少し深めの傷や幅の広い傷にはクレヨンタイプがおすすめです。傷の周りの色に近いクレヨンで傷を埋めた後、濃いめの色で木目の模様を書き足すとより効果的です。

 

中程度の傷や凹みは電熱コテを使って

やや深い傷や凹みができてしまった場合は、床用補修材を電熱コテで温めて溶かして流し込み、平らに削って埋めます。その後にペンタイプの補修材で木目模様を書き足すとより効果的です。
電熱コテが必要なのに加え、補修材もパテ(クレヨン)タイプとペンタイプなど何種類か準備する必要がありますので、DIYとしては難易度の高い作業といえます。

 

プロの補修屋さんに依頼する

自分で補修するには傷が大きかったり、DIYに自信がない場合には、プロの補修屋さんに依頼するのがおすすめです。
補修屋さんは特殊な技術を持った専門職で、様々な材料や道具を駆使して補修します。作業後は「どこに傷があったのか、近くで見てもわからない!」と驚かれる方が多いです。

費用は1回の出張で3~5万円くらい。通常は時間制ですので、所定の時間内に家中の傷をまとめて補修してもらうと良いでしょう。

 

部分的にフローリングを貼り替える

「傷んでいるところだけを張り替えたい」というご要望もよく受けます。しかし、フローリングの部分貼り替えは、できなくはないが綺麗に仕上げるのが非常に難しい工事といえます。

フローリングはただ敷いてあるだけではなく、フローリング同士が「サネ」と呼ばれる凹凸をかみ合わせて接合されていて、さらに下の合板に接着剤で固定されています。そのため、部分的に貼り替えるということは、フローリングだけを(下の合板は切らないように慎重に)カットし、力ずくで合板から引きはがし、合板に残った接着剤を削って均してから、新しいフローリング材をはめ込む、という手間のかかる作業になります。

〇 部分貼り替えのメリット

  • 家具を動かす必要がない
  • お部屋が大きい場合は全面張り替えより費用が抑えられる

× 部分貼り替えのデメリット

  • 既存のフローリングと同じ見た目にするのはほぼ不可能
  • 新旧のフローリングの接合部に隙間や段差が生じやすい
  • 壁際は部分貼り替えできない
  • 施工面積の割に工事費は割高

 

このようなことから、お部屋がそれほど大きくない場合や、他の場所にも同じような劣化が出てくる可能性がある場合には、フローリング全体のリフォームをおすすめします。

 

5.マンションで床リフォームする前に確認すること

遮音フローリングの劣化が広範囲に広がっている場合には、全面貼り替えなどの本格的なリフォームを検討することとなります。その際にはまず、以下の点を確認してください。

 

床の構造~「直床」か「二重床」か?

マンションの床の構造には、「直床工法」と「二重床工法」の2種類があります。

「直床工法」とは、コンクリートスラブの上に直接フローリングなどの仕上げ材を貼る工法です。この「直床工法」で使用されるのが、防音クッション材が付いた「遮音フローリング」です。

一方、「二重床工法」とは、コンクリートスラブに支持脚を立て、その上にパーティクルボードなどで床の下地を組んでからフローリングなどの仕上げ材を貼る工法です。この場合は普通のフローリングが使用されますので、床リフォームも一般的なフローリングと同じように行うことができます。

「直床工法」と「二重床工法」を見分けるのは簡単です。「直床工法」では遮音フローリングが使用されますので、踏むとフワフワとした感触があります。また、「二重床工法」が取り入れられるようになったのは2000年以降ですので、築年数からも大方の見当はつきます。

 

マンションの管理規約~防音規定や事前手続き

もし、ご自身のマンションが「直床工法」の場合、フローリングの貼り替えを検討される際にはまず、マンションの管理規約を確認してください。使用できる床材の遮音性能が定められているはずです。

一般的には「LL-45」を求めるマンションが多いものの、より厳しい「LL-40」の防音性能を求めるマンションも少なくありません。

また、マンションによっては、工事前に上下左右に隣接する住人から同意書を得る必要があったり、管理組合の議決が必要だったりと、必要な手続きを定めている場合もあります。

 

6.遮音フローリングのリフォーム方法

ここからは、遮音フローリングの本格的なリフォーム方法をご紹介していきます。
遮音フローリングのリフォームは「元のフローリングを撤去する方法」と「元のフローリングの上に重ね貼りする方法」の大きく2つに分けられます。

 

今のフローリングを剥がして貼り替える「撤去工法」

従来からマンションの遮音フローリングのリフォームで広く行われてきた方法です。
床スラブ(コンクリート)に接着された遮音フローリングをバール等で引きはがし、下地に張り付いたクッション材を削り落してから、新しい遮音フローリングを貼り直します。

解体作業に日数がかかり粉塵も発生しますので、住みながらのリフォームにはおすすめできません。また、床暖房がある場合にはそれも撤去する必要があります。

〇 撤去工法のメリット

  • 施工しない部屋(和室など)との段差ができない
  • 選べる床材のバリエーションが多い

× 撤去工法のデメリット

  • 大量の粉塵が発生する(住みながらの工事に不向き)
  • 工期が長い&廃材が発生する=費用が高い
  • 床暖房がある場合はそれも撤去しなければならない

 

今のフローリングの上に貼る「上貼り工法」

最近、遮音フローリングのリフォーム方法として主流になってきている工法です。
重ね貼りしても段差ができないよう厚さが2~5mmと薄いもので、遮音フローリング特有のフワフワとした動きの影響を受けにくい構造になっている商品がいくつかあります。

もちろん、LL-45やLL-40といったマンションの防音規定にも対応していて、床暖房がそのまま残せるのも利点です。

〇 上貼り工法のメリット

  • 撤去作業がないので、工期が短く費用も安い
  • 床暖房を残すことができる

× 上貼り工法のデメリット

  • 選べる床材のバリエーションは限られる
  • 施工しない部屋(和室など)との段差が少しできる

 

7.遮音フローリングに上貼りする際の注意点

遮音フローリングをリフォームする場合は、先ほど紹介した「上貼り工法」がおすすめです。では、どんな場合なら「上貼り工法」が選択できるのか?判断のポイントや、上貼り工法で使用できるおすすめ床材をご紹介していきます。

 

撤去工法か?上貼り工法か?判断のポイント

現状が遮音フローリングなら、「撤去工法」か「上貼り工法」のどちらかでリフォームすることになります。
費用、工期、生活への影響などあらゆる面から考えても「上貼り工法」の方が負担が小さいのでおすすめですが、以下のような場合には「撤去工法」も選択肢となるでしょう。

<撤去工法が選択肢となる場合>

  • マンションでも無垢フローリングにしたい。
  • 遮音フローリングのフワフワ感がどうしても嫌だ。
  • 和室などフローリングでない部屋との段差ができるのが嫌だ。
  • 上貼り対応の商品では気に入った色柄がない。
  • 床の劣化が進んで凹凸が出ているため上貼りできない。

※上記以外の場合には「上貼り工法」がおすすめです!

 

普通のフロアタイルは遮音フローリングに上貼りできない?

遮音フローリングは裏面にクッション材が付いているため、力がかかるとその部分が沈みます。
この上に普通のフロアタイルを貼ると、下の図のように床材の継ぎ目に隙間が生じたり、何度も動くうちに接着が弱くなって浮いてきてしまうといったリスクがあります。
ですので、普通のフロアタイルを遮音フローリングの上に貼ることはできません。

 

しかし、近年登場した遮音フローリングに上貼り可能な床材は、床材の接合部に「サネ」といわれる凹凸加工がされていて、床材同士をしっかりとかみ合わせて固定できるようになっています。
そのため、遮音フローリングが沈んでも一体となって動きに追随し、不具合が出にくいのです。

 

遮音フローリングに上貼り可能なおすすめ床材

マンションの遮音フローリングの上に上貼りできるおすすめ床材をご紹介します。ここでご紹介するのはどれも、上貼りしても遮音性能を損なわず、床暖房にも対応できる商品です。
気になる床材があったらぜひ、メーカーから実物サンプルを取り寄せて色柄や質感を確認してみてください。

 

〇パナソニック「ウスイータ」防音直貼床材向け

ついに、パナソニックの「ウスイータ」シリーズに遮音フローリングに上貼りできるタイプが加わりました!
素材は樹脂ですので、いわゆるフロアタイルと呼ばれるものになりますが、普通のフローリング同様の相じゃくり形状のサネが付いているので、遮音フローリングの上に貼っても目違いが起こりにくくなっています。

遮音フローリングに上貼りできる床材の中では最も薄く、段差が気にならないところが特徴です。また、オークやチェリー、グレージュ系などトレンドの色柄がラインナップされているところも注目ポイントです。

厚さ1.5mm
素材WPB(ウッドプラスチック)+化粧シート
色柄木目9種類 石目1種類
価格37,840円/坪
公式サイト>パナソニック「ウスイータ」

 

〇北洲「ペルゴLVTフロア」

「ペルゴLVTフロア」はクリックタイプと呼ばれるフロアタイルで、床材同士をカチッとはめ込んで固定していきます。ジョイント部がしっかりと連結される構造のため、接着剤を使わずに置くだけで施工することも可能です。

かなりお値段の張る商品ですが、表面が「チタンV]という強い保護層でコーティングされていて耐摩耗性が高いこと木目・石目模様の再現度やエンボス加工が精巧で高級感があるところが強みです。

厚さ4.5mm
素材PVC(ポリ塩化ビニル)+化粧シート+チタンV層
色柄木目5種類 石目3種類
価格木目:45,181円/坪 石目:45,026円/坪
公式サイト>北洲「ペルゴLVTフロア」

 

〇ナオス・テック「ナオスフローリング」

「ナオスフローリング(Naoss Flooring)」は薄型の木質系フローリングです。普通のフローリングと同じように、相じゃくり形状のサネをかみ合わせつつ接着剤で固定していきます。
色柄のバリエーションが豊富コスパが良いのが特徴です。なお、ナオスフローリングは加盟店のみが施工できる商品ですので、工事を依頼する際には注意が必要です。

厚さ3mm
素材MDF(木質繊維板)
色柄木目16種類
価格29,700円~/坪(材工)
公式サイト>ナオス・テック「ナオスフローリング」

 

〇Resta「ECUA 1.5mmうわばりフローリング」

「ECUA 1.5mmうわばりフローリング」も相じゃくり形状のサネが付いたフロアタイルです。厚さ1.5mmと薄いので扱いやすく、カッターで切りながら両面テープで固定します。
こちらの商品は誰でもインターネットで購入可能ですので、DIYで遮音フローリングの上貼りにチャレンジしてみるのもいいかもしれません。

厚さ1.5mm
素材SPC(炭酸カルシウム配合プラスチック)
色柄木目7種類
価格9,730円/坪
公式サイト>Resta「ECUA 1.5mmうわばりフローリング」

 

遮音フローリング上貼り工法の施工事例

使用床材ナオスフローリング (アリアバーチ)
施工面積約60㎡
工事費約65万円
詳細リンク>遮音フローリングも上貼りリフォームできます!~マンション全面リフォーム

 

8.マンションでも無垢フローリングにできます!

「マンションは無垢フローリングにできない」と思われている方も多いのですが、適切な工法を用いれば無垢フローリングにリフォームすることも可能です。ただし、リフォーム業者の専門知識や経験によって差が出るリフォームとなります。
そこで、マンションに無垢フローリングを貼る方法、使用できる床材、工事にあたっての注意点などを解説していきます。

 

マンションに無垢フローリングを貼る方法は3つ

マンションに無垢フローリングを貼る方法としては、「防音マットを敷く」「二重床に改修する」「遮音材付き無垢フローリングを使用する」の3つの方法があります。

 

①防音マットを敷く

防音マットとは、コンクリートスラブの上に直接敷き、その上からフローリングを施工することで、防音効果を発揮するマットです。
ゴムシート状のものや、クッション材と吸音ボードを組み合わせたものなど、様々な素材・構造の防音マットが販売されています。遮音性能もLL-40まで対応できる商品もあります。

防音マットを用いた工法ならどんな樹種の無垢フローリングでも使用できること、遮音フローリングのようなフワフワ感がないことなどメリットも多いため、私たちナチュラルステージではよく採用しています。

 

〇前田木材「防音マットMT0003」

防音遮音材と下地合板が一体となったボードです。コンクリート床に敷き詰めるだけで、その上に直接無垢フローリングを貼ることができます。
防音材22mmと無垢フローリング15mmを貼ると合計37mm床が高くなりますので、建具カット等の工事が必要になります。

商品名防音マットMT0003 (前田木材)
厚さ厚さ22mm(衝撃吸収材+パーティクルボード+遮音制振材)
遮音性能LL-40
価格7,000円/㎡ ※下地合板を含む
公式サイト>前田木材「防音マットMT0003」

 

アトピッコハウス「わんぱく応援マット」

こちらは防音マットのみの商品ですので、現場でこの上に合板9mmを貼ってから無垢フローリングを敷く必要があります。
防音マットの中では薄く、床暖房にも対応しているところが特徴です。

商品名わんぱく応援マット (アトピッコハウス)
厚さ厚さ11mm(フェルト+ゴム)
遮音性能LL-40 ※床暖房対応
価格8,000円/㎡ ※別途下地合板が必要
公式サイト>アトピッコハウス「わんぱく応援マット」

 

②二重床に改修する

先にご紹介した二重床に改修すれば、無垢フローリングを含めどんな床材も施工可能です。ただ、二重床にすると、支持脚+下地合板+無垢フローリングの3層になるため、①の防音マットを用いる工法よりもさらに床が上がってしまいます。それに伴う付帯工事が多くなるため、床だけのリフォームを目的にこの方法を採用することはほとんどありません。

ただ、二重床にするのと同時に水回り設備の移動も可能になるので、マンションをスケルトン状態にして、全面的にリノベーションする場合には選択肢となります。

 

③遮音材付き無垢フローリングを使用する

最近は100%無垢材の裏に遮音材を直接貼り付けた商品も登場しています。一般的な遮音フローリングと同様、コンクリートスラブに直接貼れるため、防音マットや二重床を施工する手間が省けるリフォーム前と床の高さが大きく変わらない、といったメリットがあります。

100%無垢材と遮音材を組み合わせた商品の他にも、厚さ2mm程度の天然木の挽き板を表面に用いた遮音フローリングもあります。100%無垢材と遜色ない質感ながら施工性も良いので、マンションで気軽に無垢フローリングを楽しみたい方におすすめです。

遮音材付き無垢フローリングのうち、LL-45の遮音性能をクリアできる商品をいくつかご紹介しておきます。

 

〇木魂防音無垢フローリング
厚さ15mmのしっかりとした無垢材に遮音材が付いているものです。12種類の樹種から選べるもの嬉しいポイントですね。ただ、厚さが26mmと一般的なフローリングよりかなり厚いので施工には注意が必要です。

商品名木魂防音無垢フローリング (無垢フローリング専門店 木魂)
厚さ厚さ26mm(無垢フローリング15mm + 遮音材11mm)
色柄12樹種
公式サイト>「木魂防音無垢フローリング」

 

〇無垢ピノアース グランドフローリング L-45
「ピノアース」はウッドワン独自のパイン材の一種です。木目を引き立てる「浮造り仕上げ」がされていて、無垢材ながら傷や汚れにも配慮されています。

商品名無垢ピノアース グランドフローリング L-45 (ウッドワン)
厚さ厚さ16mm(無垢フローリング12mm + 遮音材4mm)
色柄1樹種(パイン)×7色
公式サイト>「無垢ピノアース グランドフローリングL-45」

 

〇ライブナチュラル プレミアム コンクリート下地用 
こちらは、無垢材ではなく挽板タイプの遮音フローリングになりますが、見た目も質感も無垢材と遜色のない高級感があります。今人気の樹種「オーク」や「ブラックチェリー」がラインナップされています。

商品名ライブナチュラル プレミアム コンクリート下地用 (朝日ウッドテック)
厚さ厚さ13.7mm(天然木挽き板1.5mm + 合板7.7mm+遮音材4.5mm)
色柄4樹種
公式サイト>「ライブナチュラル プレミアム コンクリート下地用」

 

マンションに無垢フローリングを貼る際の注意点

防音規定のあるマンションで無垢フローリングを貼る方法をご紹介してきましたが、その際、注意していただきたい点がいくつかあります。

 

①建具アンダーカットが必要になる

防音マットを敷く方法でも、遮音材付き無垢フローリングを使う方法でも、一般的なフローリング材やカーペットに比べると厚みがありますので、リフォーム前よりも床が上がってしまいます。そのため、ドアや収納などの建具の下端をカットして、開け閉めができるように調整する必要があります。

建具をカットする高さが10mm程度であれば、現場で大工さんがカットすることもできますが、もっと大きくカットする場合には、建具内の芯材を入れ直して補強する加工が必要になるため、建具屋さんの仕事となります。

 

②リビング続きの和室では敷居の交換が必要なことも

防音マットを使って無垢フローリングにすると、施工しないお部屋との段差が2~4㎝できます。ドア等でお部屋がしっかり仕切られている場合には、ドア下に小さなスロープ状の部材(斜め見切り)を入れることで、日常生活に支障がないようにすることができます。トイレや洗面所などはこの方法でだいたい解決できます。

ただ、マンションによくみられるLDKと続き間になっている和室だと、建具を開け放して過ごすことも多いため、床の境目に斜め見切りがあると正直、違和感が大きいです。そのような場合には、敷居を交換して和室の床を全体的に上げる工事を行います。

 

③無垢フローリングは材料ロスが多い

無垢フローリングは天然木の性質上、色や木目、節などのばらつきが大きいのが特徴です。その個性が無垢材らしい魅力ではありますが、あまり極端に色が濃い材や節が集中している物がお部屋の真ん中に来ると目立ってしまいます。
このため、無垢フローリングは施工する前に一枚ずつ仮並べをし、個性が強い材は目立ちにくい場所にもっていくよう配慮します。

それだけ手間をかけて床材の配置を工夫しても、どうしても使えないものが出てくるのが無垢フローリングです。品質の安定した合板フローリングより材料ロスが多くなることはご理解ください。

 

無垢フローリングはDIYできる?

防音マットの施工は比較的簡単ですので、メーカーの施工要領書をよく読めばDIYでも十分できると思います。難しいのは無垢フローリングや遮音材付き無垢フローリングの施工です。

まず、丸鋸やネイラー、手ノコなどの工具、フロア用ボンドや釘などの副資材をそろえる必要があります。また、壁際や貼り終わり部分の施工が難しいことや、建具枠の周辺では細かい加工が必要になる等は一般的なフローリングをDIY施工する際と同じです。

無垢フローリングならではの注意点としては、冬場に施工する場合には夏場のフローリングの膨張を、夏施工の場合には冬場の収縮を予測し、スペーサーで隙間を調整しながら貼る必要があるところです。床材同士の隙間を開けすぎるとゴミが溜まってしまいますし、隙間が狭すぎると床材同士が突き上げて波打ったり、床鳴りの原因になったりします。

 

マンションに無垢フローリングを貼った施工例

使用床材防音マットMT0003(前田木材)+無垢フローリング(ラスティックオーク18mm)
施工面積約60㎡
工事費約250万円(建具工事を含む)
詳細リンク>住みながらのリフォームは辛いと聞いていたけれどキャンプみたいで楽しかった!

 

9.遮音フローリングのフワフワ感をどうにかしたい!

遮音フローリングの大きな特徴は歩いた時の「フワフワ感」ですが、これが苦手という方も多いです。
そんな場合はどんな対策があるのでしょうか?いくつかご紹介していきます。

 

フワフワ感は慣れます(実体験)

実は、私自身も戸建てからマンションに引っ越した経験があり、最初は遮音フローリングのフワフワ感に大きな違和感がありました。しかもうちは、よりフワフワ感の強いLL-40の遮音フローリングしか使えないマンションでして。。。最初はなんとも気持ちの悪い思いをしたものです。

しかし、1週間も暮らすと徐々に気にならなくなり、今は全く意識することはありません。また、家具を置いたら沈むとか傾くとか、そういったことも我が家ではありません。

それに、年数とともに遮音フローリングのクッション性は損なわれ、次第にフワフワしなくなっていくものです。築20年くらいのマンションですと、私たちでも遮音フローリングなのかどうか、感触だけで見分けるのが難しい場合もあります。

といわけで、「遮音フローリングのフワフワ感は慣れる」と断言できます!

 

フワフワ感がどうしても嫌な場合の対策

とはいえ、マンションの遮音フローリングのフワフワ感がどうしても苦手!という方のため、遮音フローリングのフワフワ感対策を4つご紹介しておきます。

 

対策①:二重床にする

先ほど「無垢フローリングにする方法」でご紹介した二重床にする工法をとればフワフワ感はゼロです。二重床に改修してから、一般的なフローリングやフロアタイルで仕上げます。
ただ、費用はかなり高額になりますので、スケルトンリフォームなど全面的なリノベーションを行う際の選択肢となるでしょう。

対策②:防音マットを敷く

先ほど紹介した防音マットを敷く方法でも歩行感はかなり良くなります。防音マットは遮音フローリング裏のクッション材よりも固い素材でできているので、ほとんどフワフワ感がありません。
防音マットの上には一般的なフローリングが施工できますので、床材の選び方によっては費用を抑えることもできます。

対策③:遮音材付き無垢フローリングにする

また、先ほどご紹介した遮音材付き無垢フローリングも、一般的な遮音フローリングよりしっかりした踏み心地の物が多いです。
ただ、商品代はやや高めになりますので、防音マットを敷く方法の方が費用を抑えられる可能性もあります。

対策④:フワフワ感を軽減した遮音フローリングを使う

最近はフワフワ感を軽減した遮音フローリングも登場しています。特に無垢材にこだわりがなければ、このような商品でもいいですね。
まだまだ商品バリエーションは少ないので、サンプル等を取り寄せてご自身の好みに合うかどうか、チェックしてみてください。

>朝日ウッドテック「スマートハード」シリーズ 公式サイト

 

 

10.住みながらフローリングの貼り替えはできる?

この記事をお読みの方の中には、できれば住みながらフローリングを張り替えたい、と考えてらっしゃる方もいるでしょう。
結論から申しますと、マンションでも住みながらフローリングを張り替えることは可能です。ただし、住みながらの貼り替え工事が難しいケースもありますし、色々と注意点もあります。

 

フローリングの貼り替えを住みながら行うメリット・デメリット

フローリングの貼り替えを住みながら行うメリットには以下のようなものがあります。

〇メリット

  • 引っ越しの手間や費用がかからない
  • 工事の進捗状況を日々確認できる

最大のメリットは、仮住まいや引っ越しにかかる手間や費用が省けることです。
もし、仮住まいとしてアパート等を借りるとなると、工事期間中の家賃に加え、往復2回分の引っ越し代など20~50万以上の費用がかってきます。さらに家具や家財の多い方だと、仮住まい先にすべてを持っていくことができず、別途コンテナ倉庫等を借りる必要もでてきます。

もうひとつのメリットとしては、住みながらの工事であれば、工事の進捗状況を日々確認できる点です。施工中に気が付いたことを都度、工事会社や職人さんに伝えることもできるので、結果としてより満足度の高いリフォームになりやすいです。

 

一方、フローリングの貼り替えを住みながら行うデメリットには以下のようなものがあります。

×デメリット

  • ホコリや騒音、人の出入りが気になる
  • 生活スペースが限られる
  • 工期が長くなる(費用が高くなる)

特に、マンションの遮音フローリングを撤去工法で張り替える場合には、ものすごい粉塵が発生します。この粉塵はとても細かいので、どれだけしっかり養生しても、どこからか侵入してしまうほどです。また、お客様にとってホコリや騒音も大きなストレスですが、工事期間が長い場合は特に、生活の場に毎日色々な職人が出入りすることも、想像以上の精神的負担となります。

また、当然のことながら、フローリングを張り替えている間はその部屋は使えませんので、家具は工事をしていない部屋に集めることになります。その際、家具は中身を出して軽くする必要がありますので、家具本体に加えて中身を梱包した大量の段ボールの置き場所が必要です。そのため、家具家財の多いお宅だと、工事中の生活スペースが極端に限られ、実際に生活するのが難しい場合もあります。

住みながら工事する場合は、ひと部屋ごとに仕上げてから家具家財を移動し、また次の部屋を施工する、という手順になります。つまり、一気にフローリングを貼ることができない上、家具家財を移動させる手間が何度もかかるため、工期が長くなり、かえって費用が高くなるケースも想定されます。

 

住みながらフローリング貼り替えが難しいケース

住みながらフローリング貼り替え工事を行うのがどうしても難しいケースをご紹介しておきます。
工法や工期によっては、仮住まいをした方が経済的にも負担が抑えられることもありますので、以下を参考によく検討してください。

 

①遮音フローリングを剥がして張り替える(撤去工法)の場合

すでに貼ってある遮音フローリングを撤去して新しいものに張り替える「撤去工法」だと、工事中に大量の粉塵と騒音が発生するのと、工期が長くなるケースが多いので、住みながらの工事には不向きです。住みながら遮音フローリングをリフォームしたい場合は、先にご紹介した「上貼り工法」をまずご検討ください。

もし、上貼り工法に使える商品には好みのフローリング材がなく、どうしても撤去工法で施工しなければならない場合は、賃貸アパートやホテルでの仮住まいを検討してください。

 

②家全体のフローリングを張り替える&家具が多い(or部屋数が少ない)

上貼り工法でフローリングを張り替える場合でも、家全体を施工する場合には注意が必要です。
ひと部屋ずつ順番に施工していくことを想定し、家具や家財ダンボールを集めても生活スペースが確保できるか、十分に検討してください。

家具が多かったり、ひとつひとつの家具が大きい場合、あるいは、部屋数が少なくて家具家財を集めるスペースが確保できない場合には、住みながらの床リフォームは難しくなります。

 

住みながらフローリングを貼り替える際の注意点

ここまで、遮音フローリングを住みながら貼り替えるメリット&デメリットや、どうしても難しいケースをご紹介してきました。住みながらの床リフォームは可能とはいえ、色々と注意点があります。できれば仮住まいやホテル暮らしをせずに床をリフォームしたい方は、以下を参考にしてみてください。

 

①家具家財を減らす

一番大事で、まず最初に取り組むべきことは、お手持ちの家具・家財を見直し、リフォームを機会に断捨離して総量を減らすことです。リフォーム後の暮らしやインテリアを想像しながら、リフォーム後も必要なもの、引き続き使いたいものを厳選しましょう。

一般的に、床を全体的に貼り替えるとお部屋の雰囲気はガラッと変わりますので、新しい住まいに合わせて家具を新調することも選択肢に入れてください。

 

②コンテナ倉庫や一時預かりの活用

近所のコンテナ倉庫に家具家財の一部を運び出す方法もあります。あるいは、施工するリフォーム業者が家具家財を一時預かりしてくれることもあるので、相談してみましょう。やや費用は高めになりますが、引っ越し業者も家具家財の預かりサービスを行っています。

一部でも家具家財を別の場所に移すことができれば、住みながらの工事がやりやすくなります。

 

③家具移動や家財処分も頼める業者か?

リフォーム業者に工事を依頼する前に、工事中の家具移動や工事前の家財処分も引き受けてくれるか、確認しておきましょう。業者に手伝ってもらえない場合には、自分たちで便利屋さんなどを手配する必要があります。

家具家財の数量によって移動費や処分費は変わってきますので、まずはご自身で家具家財の整理をある程度進めてから見積を依頼してください。

 

11.まとめ

本記事では、防音規定のあるマンションでフローリングの貼り替えをする場合の注意点や、リフォーム向けのおすすめフローリング材などをご紹介してきました。

マンションでの床リフォーム工事は、業者によって提案内容や費用に違いが出やすいリフォームですので、遮音フローリングが得意なリフォーム会社に相談してみることをおすすめします。
もちろん、私たちナチュラルステージでも無料でご相談&お見積りを承っております。愛知県で遮音フローリングのリフォームをご検討中の方はぜひ、お気軽にお問合せください。

 

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この記事を書いた人

西村彩子/一級建築士、木造耐震診断資格者、既存住宅状況調査技術者、福祉住環境コーディネーター2級、水まわりマイスター
2011年から株式会社ナチュラルステージでリフォーム設計を担当。プライベートでも子育て・親の介護・自宅購入とリフォーム(戸建て&マンションの2回)など一通りのライフイベントを経験。長期的な視点からのリフォーム提案が得意です。

 

 

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